「フリーランス」と「個人事業主」。この2つの言葉の違いについて、考えてみたことはありますか?
「フリーランスとして成功したい!」「個人事業主になりたい!」などと思われている方にとって、フリーランスと個人事業主の違いを正確に把握することは、ビジネス戦略を考える上で非常に重要です。
今回は、個人事業主のフリーランスとしてWebライターをやっている立場から、「フリーランス」と「個人事業主」の意味や違いについてお伝えします。
フリーランスは働き方の「スタイル」。個人事業主は「法的な区分」。
「フリーランス」=「個人事業主」という解釈をたまに目にしたり耳にしたりします。
たしかに私自身もそうですが、フリーランスの多くは個人事業主なので、こういった解釈になるのはよく分かります。
ただ実際には、フリーランスという言葉は働き方の「スタイル」を指し、一方で個人事業主は働き方の「法的な区分」を指す、という違いがあるのです。
なので世の中には「フリーランスだけど個人事業主ではない」人も、「個人事業主だけどフリーランスではない」という人もいたりします。
それでは、フリーランスと個人事業主、それぞれどういうものなのかをご説明していきましょう。
フリーランスとは?
「フリーランス」は働き方の「スタイル」のこと
フリーランスとは「特定の組織に所属せずに、都度仕事を請け負う」という働き方のスタイルの意味します。
参考に『明鏡国語辞典 第三版(大修館書店)』で「フリーランス」を引いてみると、以下のとおり。
フリーランス:自由契約者。特に、特定の会社・劇団・プロダクションなどに所属しないジャーナリスト・演出家・俳優・歌手など”
明鏡国語辞典 第三版(大修館書店)
ここでいう「自由」というのは、「所属をしていないこと」を意味します。
つまり「誰から仕事を貰おうとも自由」というのが、フリーランスという言葉の本質です。
そもそも「フリーランス:freelance」という言葉の語源は「free(自由)」と「lance(槍)」の合成語であり、中世ヨーロッパにおいて王家に所属せず戦争の度に契約を結んで戦った兵士を指す言葉でした。
このことからも、フリーランスという言葉の本質が「特定の組織に所属せずに、都度仕事を請け負う働き方」であることが分かります。
フリーランスってどういう人たち?
それでは具体的には、どういう人たちがフリーランスとして活躍しているのでしょうか?
最もイメージしやすいのは、私も仕事をしている「Webライター」や、「Webデザイナー」「ITエンジニア」といったWeb界隈の仕事でしょう。
私の場合で話をすると、私自身はいくつもの会社と「業務委託契約」を結んで仕事を請けています。
これらの業務委託には「専属」の要項を入れていません。
すなわち、契約があるからといって、その特定の組織に専属で仕事をしなくてもよく、ほかの会社から仕事を請けても問題がありません。
まさしく「誰から仕事を貰おうとも自由」な働き方をしているわけです。
ほかにも「コンサルタント」や「翻訳家」、「イラストレーター」といった仕事も、フリーランスの人が多い職業として挙げられます。
あとは、最近ホットな人物を挙げるとすると、テレビプロデューサーの佐久間伸行さん。
佐久間さんは元々はテレビ東京の社員だったのを、独立してフリーランスとして活動するようになったので、今はフジテレビからも仕事を請けたりできているわけです。
個人事業主とは?
「個人事業主」とは、働き方の「法的な区分」のひとつ
「個人事業主」は、「公務員」や「会社員」、「法人経営者」に並ぶ、働き方の「法的な区分」として捉えることができます。
これらについて違いが分かるようにまとめると、以下のとおりとなります。
・公務員…行政等と任用関係を形成して、給与を得る
・会社員…企業等と雇用契約を結んで、給与を得る
・経営者…法人を経営して、役員報酬を得る
・個人事業主…個人で事業を営んで、売上と経費等の差額を報酬として得る
ここで押さえておきたいのは、これらの働き方の法的な区分は、仕事の種類を意味する「職業」とは別の基準のカテゴライズだという点。
つまり「この人は○○という職業だから、会社員だな」ということには必ずしもならない、ということです。
実際、私自身は「個人事業主」としてWebライターという仕事をしていますが、自ら法人を設立して「法人経営者」としてWebライターをしている人もいますし、ライティング会社の「会社員」のWebライターもいます。
ただし中には、特定の法的区分にしか存在しない職業もあります。たとえば「自衛隊」や「警察官」「消防員」は必ず「公務員」に分類されるので、「会社員」は存在しないことになります。
話が少しそれましたが要点をまとめると、「個人で事業を営んでお金を得る」という「働き方」の法的な区分が「個人事業主」ということになります。
個人事業主ってどういう人たち?
個人事業主の人数が多い業種としては「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」、そして「生活関連サービス業、娯楽業」が挙げられます。
最近増えているUberEatsなどのギグワーカーも、法的には個人事業主です。
意外なものとしては、キャバクラ嬢やホストといったいわゆるナイトワーカーは、「お店に雇用されているスタッフなので社員?」と思いそうですが、実際は多くが個人事業主だとされています。
それと、性風俗業で働く方も多くが個人事業主だそうです(余談ですが、新型コロナ禍において「持続化給付金の給付対象から、性風俗業の事業者が除外されること」が「職業差別」であるとして、論争になりましたね)。
余談ですが、私が今住んでいる賃貸物件の管理会社のスタッフさんも「私も個人事業主なんです」と仰っていました。会社の「会社員」のように思えるけど実際はそうではない、というのはよくある話なのです。
あとはプロスポーツ選手にも、個人事業主が多くいます。
ただし、プロスポーツ選手でも所得(年俸)が大きい場合には、税金対策として有利という観点から、法人を設立して「法人経営者」になることが一般的です(いわゆる「個人事務所」)。
「フリーランス」≒「個人事業主」ではない人たち
ここまで、フリーランスと個人事業主の違いについてご説明してきました。
フリーランスとは、特定の組織に所属せずに、都度仕事を請け負う働き方の「スタイル」のこと。
個人事業主とは、個人で事業を営んでお金を得るという稼ぎ方の「法的な区分」のこと。
「フリーランス」=「個人事業主」ではないということは、「個人事業主だけどフリーランスではない」人や「フリーランスだけど個人事業主ではない」という人も存在する、ということになります。
例えばプロスポーツ選手の場合、「個人事業主だけどフリーランスではない」ケースが多くあります。
というのも、プロスポーツ選手の多くは基本的に特定のチームと専属で契約を結んでおり、他のチームでプレーすることはありませんよね。つまり「誰から仕事を貰おうとも自由」ではないから、フリーランスではありません。
また、先述のテレビプロデューサーの佐久間さんは、フリーランスではあるものの「個人事務所」を法人として設立しているため、個人事業主ではありません。
こういった「個人事業主が法人化する」という流れは「法人成り」と呼ばれます。
法人成りには、税金対策での有利などさまざまなメリットと、その反面デメリットも存在しますが、その話はまた別の機会に。
まとめ
今回は「フリーランス」と「個人事業主」の意味や違いについて、細かにお伝えしてきました。
言葉の意味や本質を知っていただくことは、ライフスタイルやキャリアステップを考える上で非常に重要な意味を持ちます。
今回のこの記事が、あなたにとってより良い人生・キャリアの一助となれば幸いです。

