「ちょっと最近食べ過ぎてるなあ…。いつもは大盛りだけど今日は並で!」
「並」や「並み」は、普段から使い慣れている言葉のひとつ。ですが、実は「並」と「並み」では意味が少し違うってこと、ご存じですか?
送り仮名の有る無しで意味が微妙に変わる奥深い言葉「並/並み」について、意味や使い方を解説しています。
「並」「並み」の意味
まずは「並」「並み」の意味について、明鏡国語辞典の第三版をもとに確認してみましょう。
【名詞】並
『明鏡国語辞典 第三版』より
①特によくも悪くもないこと。ふつうの程度
②商品などの等級が、中程度であること
【造語成分】並み
①同じ種類のものが並んでいること
②それぞれがみなそうであること
③同じ程度・部類であること
おおよそみなさんが想像されているとおりの意味だと思いますが、よく見ると「並」と「並み」では意味が違います。
ざっくり言うと、送り仮名のない「並」は「ふつう」という意味。一方の送り仮名のある「並み」には「並び」という意味合いがあります。③は「並」と同様のように見えますが、これも暗に「他のものと並べ比べて」というニュアンスがあるように見えます。
つまり、例えば牛丼屋さんでは「並み盛」ではなく「並盛」と書くのがよく、「軒並み」や「山並み、「毛並み」を「軒並」「山並」「毛並」とするのはよくない、と言えそうです。
一応、手元にある別の辞書を複数引いて確認しましたが、どれでも同様に「並」と「並み」で異なった意味を示していました。
とはいえ個人的には、「軒並」「山並」などと書いても突っ込まれることってそんなに無いと思いますが。一応、知っておくと良い知識だと思います。
それとついでに牛丼の大手三社のメニューを今見たら、どれもちゃんと「並盛」って書いていました。
「人並み」「月並み」「馬並み」…「~並み」の言葉の意味
続いて、「人並み」「月並み」「馬並み」などの、「~並み」の言葉について、同じく明鏡国語辞典の第三版からご紹介していきましょう。
人並みの意味
「人並み」の意味は「世間一般の人と同じ程度であること」とありました。要は「ふつう」ということだと解釈すればよいでしょう。
「並」だけでも「ふつうの」という意味は成立しますが、あえて「人(=ほかの人)」をつけることで、「ほかの人と何も違わない、ごくふつうの○○なんですよ~」という意味合いがあるように感じます。
「人並み外れた」とすることで、「ふつうではない」「特別な」「異常な」「非凡な」といった意味合いに変えられるのも、面白いところです。「非並」「不並」といった言葉はありませんからね。
月並みの意味
「月並み」を辞書で引いてみると、実は2つの意味があることが分かりました。
【名詞】
『明鏡国語辞典 第三版』より
毎月、定期的に行うこと
【形容動詞】
きわめてありふれていること
おそらく多くの皆さんが想像するのは、2つ目の「きわめてありふれていること」だと思います。取引先などに手土産を持参した際などに「月並みですが~」と言う、アレです。
1つ目の「毎月、定期的に行うこと」。これはあまり馴染みがない人が多いんじゃないでしょうか。
これについてWebリサーチしてみると、どうやら元々はこちらの意味のみが存在しており。明治時代の歌人である正岡子規が、既存の伝統的な旧派「月並句合」を批判するときに「月並調」などと表現したことで2つ目の意味が加わった、ということのようです。
実はこの記事を書こうと思ったきっかけは「月って1個しかなくて綺麗なのに、なぜ“月並み”は“ありふれている”という意味なのだろう?」と疑問に思ったことでした。
実はこういった言葉のストーリーがあったんですね。なるほどー。
馬並みの意味
※ここの章は下世話な内容になります。苦手な人は飛ばしてください!
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「~並み」というフレーズを目にすると、どうしても私は「ウマナミなのね~」という歌のフレーズを思い起こします。競馬漫画の大傑作「みどりのマキバオー」のアニメのエンディングテーマ「とってもウマナミ」のフレーズです。
早速、明鏡国語辞典の第三版を見てみると…。あれ?無いな「馬並み」。他の辞書にも載っていない…。
というわけでWebリサーチをしてみたところ…。あった。weblio辞書の「隠語大辞典」に載っていました。
巨大なる陰茎をいふ、略して馬ともいふ
weblio 隠語大辞典
おーう。これ以上はノーコメントとしておきましょうか…。
明鏡はじめ数々の辞書に載っていない理由も察しました。
ってか、子どもの頃は何も意識せず歌っていた「とってもウマナミ」の歌詞、よく見るとだいぶ下ネタだな!こんな下ネタなの歌をよくゴールデンタイムのアニメで放映してたな…。
でも、漫画マキバオーは間違いなく名作ですし、「とってもウマナミ」も、歌詞の意味さえ気にしなければすごく良い曲だと思います。
まとめ
というわけで今回は、送り仮名の有る無しで意味が微妙に変わる奥深い言葉「並/並み」について、意味や使い方を解説してきました。
取引先にお土産のお稲荷さんを渡す時に間違っても「馬並みですが…」とか言わないようにしましょうね。それが今回の記事での教訓です。

