新型コロナウイルスの影響により昨年以来注目を集めている「テレワーク」。
ノートパソコンがあればすぐにでもできると思われがちなのですが、実は検討しなければならない難点がいくつもあります。
そこで今回は、新型コロナ禍前からテレワークを実践している経験から、テレワークを導入する際に企業側と社員側が検討すべきポイントを3つピックアップしてお話していきます。フリーランスにも応用できるノウハウでもありますので、ぜひご一読を。
1つ目のポイント:働き手が仕事しやすい環境の整備
1つ目のポイントは、自宅を仕事ができる環境に整えることです。これはどちらかというと、社員側の準備の話になります。
まずは、仕事に必要なパソコンやプリンタといったOA機器を準備するのが先決ですが、ある程度長い期間テレワークに臨むのであれば、机や椅子もオフィスワークに向いたものにした方が良いでしょう。テレワークというと、ソファに座って膝にノートパソコンを載せて…なんていう優雅なイメージもありますが、結局はオフィスでやるような机周りと姿勢の方が、体に負荷が少なく仕事もやりやすいです。
また、資料や書類を管理するファイル類や書架もあった方がよいでしょう。特に、家族と共有している空間で仕事をする場合は、「これは仕事関係のものだからノータッチでお願いします」というスペースを確保することが大事です。
ここまでは社員個人が自分で工夫しているのが実情かと思いますが、会社としても、これらのような環境整備にお金を出す補助制度を検討する機会だと言えます。
ほかにも、意外と見落としがちなのが、仕事で使用するインターネットや電話の料金の負担についてのルールづくりです。やり取りするデータの量が大きいからと社員が新しく回線をひいたり、プランを高いものに変更するといった必要があるなら、その費用負担をどのようにするのかを、お互いが納得する形でルールを決める必要があるでしょう。
とはいえ、この仕事環境の整備は、基本的にはお金で解決できる話です。また、今回のように短期的にでもテレワークができればよいという状況ならば、仕事環境としてちょっと不便なのを我慢すれば、ノートパソコン1台あればそれで済む話でもあります。
2つ目のポイント:社内で管理している情報の持出・共有の仕組みづくり
2つ目のポイントは、社内で管理している情報を社員がどのようにして持ち出すか(共有するか)です。今はほとんどのオフィスで、電子データは社内サーバで管理していると思います。しかし、自宅からは基本的には社内サーバにアクセスできません。となると、USB等の媒体を使って持ち出すか、クラウドサーバを使うか、VPNを使うか、あるいは自分宛にメールで送るという方法を検討する必要が出てきます。
ここで問題となるのは、これらの方法だと重要な情報が流出するリスクが大きくなることです。特に顧客に関する情報やお客様の個人情報は、そもそも外部に持ち出すことがNGとなっていることも多いので、この点はよく検討しなければなりません(プライバシーマーク取得事業者であれば、その要件とも照らし合わせる必要も出てくるかも)。
また、USB等で外部に持ち出すという方法をとると、データをコピーして使うことになるので、どのデータが最新なのかが分かりづらくなるという弱点もあります。もちろんクラウドサーバやVPNを利用することなどで解決できますが、そういったことができるコストやマンパワーがない場合は、誰かがファイルの変更履歴をとりまとめて最新バージョンをつくるなどの作業やルール作りが新たに必要になってしまう訳です。
いずれにしろ、社内のセキュリティ環境やルールと仕事の実態との間でうまくバランスがとれるようなルール作りを検討しましょう。
3つ目のポイント:社員の勤務状況が見づらくなることへの心理的抵抗
3つ目のポイントは、会社側の立場に立ったとき、社員の勤務状況が見づらくなることに対して心理的抵抗があることです。要は、同じオフィスにいてくれれば、上司は部下の仕事に対する取り組み方や進捗度をなんとなく把握できるけど、テレワークだとそれがとても難しくなる、ということ。「9時から18時まで仕事しました!」と報告があったとして「本当にその時間きっちり仕事してたの?」と疑心暗鬼にならない自信はありますか?という話です。
私感ですが、私はこれこそが、なかなかテレワーク導入が広まりきらない要因になっていると思います。日本の会社は成果主義ではなく努力主義であることが多いからこそ、その努力が見えないテレワークを導入するのには心理的に抵抗があるのではないか、ということです。加えていうならばこの心理的抵抗、会社側だけではなく働く側にもあったりするのが、さらに難しいところです。
この点については、社員のことを信じて任せるしかない!というのが実情だと思いますが、例えば報告・連絡・相談をこれまで以上にお互いが密に行うようにすると、いくらかお互いに状況を把握できるようになります。メールや電話だけではなく、Slackやチャットワークなどのチャットツールを導入してみるのも良い手段です。
また最近は、新型コロナ禍でテレワークが注目されたことにより、社員の勤務状況を遠隔で確認できるツールやサービスが続々登場しています。それらの活用を検討するのも良いと思います。
大事なことは「成果をきちんと評価できる視点を持つこと」
以上、テレワーク実践者の視点から、テレワーク導入で超えるべきハードルをピックアップして語ってきました。
テレワーク導入においてもっとも重要なのは、実は3つ目のハードルとしてピックアップした「心理的抵抗」をどうやって乗り越えるのか、だと私は思います。というのも、この「心理的抵抗」は日本の会社に根強く残っている「努力主義」に紐付くものだからです。
会社側には、仕事に取り組む姿勢や姿ではなく仕事によって生み出される成果をきちんと評価できる視点を持つこと、そして働き手の側には、きちんと評価される成果を仕事によって生み出す姿勢が求められます。大変ですけど、これさえクリアできれば、テレワークはもちろん時短勤務やフレックスタイムだって、ちゃんと中身のある仕組みにすることができると思います。
