たまに、「ライティングの仕事をしているのは、文章を作るのが好きだからですか?」という質問をされます。
そういう人もいるのでしょうが、私の場合はNOです。どちらかというと、人様に自信を持ってお見せできるスキルが作文だから、というのがこの仕事をしている理由であり、文章を作るという作業自体はそんなに面白くない、とさえ思うこともあります。
ですが、ライティングの仕事をしていて「面白い!」と感じる瞬間はたくさんあります。中でも、調べ物をしてまとめるタイプの仕事はとても面白いです。
例えば、クライアントからテーマを渡されて作文するような仕事の場合。ほとんどが自分にとって「未知」のテーマです。「未知」だからこそ、間違えがないようにきちんと学び、深く理解しようとします。すると、そのテーマに関する「ストーリー」が見えてきます。
例えばとあるスポーツ種目について調べようとするときは、そのスポーツがどのようなプロセスを経て発展してきたのかを、遡るようにして調べ上げます。そうすることで、私の中にあった一般レベルの知識に、まるでテスト後の答え合わせのように「裏付け」がなされていきます。
「この言葉にはこういった由来があるのか!」「この決まり事はこうして成立したのか!」こういったことを知ることで、いつの間にかそのテーマに対する愛着が湧いてきます。これがライティングの仕事の醍醐味だと、私は思います。
と同時に、この「面白いと感じる」=「ストーリーを知り好きになる」ことの思考プロセスは、様々な場面で応用できる考え方だと思っています。例えばアーティストやプロスポーツチームを応援するという行為には、そのアーティストやチームが歩んできたストーリーが少なからず関与していると思います。時間をかけて積み重ねられてきたストーリーは、やがて応援している人々自身のストーリーと同化していき、その人にとって掛け替えのない存在になります。
好きになってもらうためには、ストーリーを知ってもらうこと。これは色んな場面で応用できる、とても大事な考え方です。それを仕事として経験できることこそが、ライターの仕事の醍醐味ではないでしょうか。

